SOHOとは
「Small Office Home Office」の略称。直訳すれば小さな事務所・自宅事務所。
因みに、よく耳にするニューヨークのSOHOは、マンハッタン区ダウンタウンにある地域(ファッションの街)。「South of Houston Street」の略で、「ハウストン通り南」です。
SOHOスタイル=”事務所兼住居のおしゃれな暮らし方”ではありません。念のため。
ネット調べてみると、一般財団法人の「日本SOHO協会」を見つけました。
SOHO(ソーホー)は、Small Office Home Office=スモールオフィス・ホームオフィスの略称(Small Office Home Office)で、企業などから委託された仕事を、情報通信を活用して自宅や小規模事務所等で個人事業主として請け負う労働形態のことです。
一般財団法人日本SOHO協会
協会では、個人事業主のワークスタイルを指すようです。
SOHOは、スタートアップやベンチャーとは指向性が異なるのかもしれません。
ここでは、SOHOで賃貸物件を探すときに知っておきたいことをご案内します。
SOHO可の賃貸
HOME OFFICE
SOHO可の賃貸とは、事務所兼用で借りられる住居。主にパソコンとインターネットで仕事するフリーランスや在宅ワークの方が対象。
賃貸住居は事務所として使用できませんが、住居兼用であれば認めることを意味します。
SOHOの「office」とは、あくまでも事務所。エステなど、お客様の出入りがある用途は事務所には該当しません。住居兼用であってもSOHOには該当しません。マンションでエステを手軽に開業されたい方が、よく勘違いをされることです。
法人登記、玄関や郵便受けの表示も制限されることが多いので、SOHO可賃貸を借りられる場合は、必ず事前に確認してください。
SMALL OFFICE
住居兼用に関わらず、小規模のオフィスをSOHOと呼ぶ場合もあります。
賃貸マンションを事務所専用として借りているケースもあてはまります。本来は、マンションは事務所専用では借りられませんが、貸す側の思惑や事情があり、法的にグレーな貸し方をする場合があります。
当然ですが、事務所専用を条件に借りれば、借りる側に何ら責任はありません。
SOHOで借りる場合の用途は?
建物には必ず「用途」があります。
賃貸借契約書には「使用用途」が記載されています。建築基準法、消防法では用途によって規制内容が異なり、法律上の重要なキーワードです。
しかし、法律内に「事務所兼住居」の用途はありません。
「SOHO」は事務所なのか?住居なのか?
実に曖昧です。
建築基準法の用途
建築基準法の都市計画では、「用途地域」を定め、都市を住宅地、商業地、工業地などにいくつか区分けしています。
用途地域内の建築物制限
住居は工業専用地域を除き、すべての地域で建てられます。一方、事務所や店舗は住居専用系地域では制限されています。
また、用途が共同住宅の場合は、共用廊下、階段、エントランなどが容積対象床面積に算入しません(建築基準法第52条第6項)。容積率の面では、共同住宅は他の用途に比べ優遇されています。
消防法の用途
消防法施行令別表第一では、用途により防火対象物を細かく区分けしています。
共同住宅は(五)項ロ、事務所は(十五)項。物品販売業を営む店舗は(四)項、エステは用途区分表になく、事務所と同じ(十五)項に該当します。
項別に必要な消防設備が決まります。共同住宅と事務所では、設置基準は大きく変わりませんが、(四)項の店舗は少し基準が厳しくなります。店舗は不特定多数が出入りするためです。
賃貸借契約書の用途
SOHO物件の賃貸借契約は一般的に住居契約になります。つまり、用途は「住居」です。
事務所兼住居は「主が住居であり法的にも問題がない」との解釈です。実際は住まないケースもありますが、住むという前提で住居契約にするケースが多く見られます。
また、契約書の特約事項に「事務所使用可」と記載する場合もあります。
自己責任で事務所使用する?
賃貸物件の中で、事務所使用が可能な物件は多くありません。数少ない物件の中から、更に別の条件に合った部屋を見つけるのは非常に困難です。
現実、無断で事務所使用をされる方も少なくありません。悪質でない場合は、黙認されることもあります。もちろん、自己責任。
事務所使用を絶対に認めない、管理が厳しい物件では、ホームページの住所でバレることがあります。マンション名や住所で検索すると、会社名が出てくるケース。結構見かけますよね。
賃貸マンションで法人登記ができる?
事務所使用を認めても、法人登記までは認めないケースが殆どです。これは、事務所使用を公にしたくない、お墨付きを与えたくないためです。本来「住居」ですから。
法人登記の手続き自体は、貸主の同意や印鑑は要りません。
なので、無断で登記される方もいます。トラブルでも起こさない限り、入居後にわざわざ登記簿チェックをするケースはないのが実情です。