会社名義で住居の賃貸物件を借りる時。契約者は法人、入居者は個人(社員や役員)のケース。
契約手続きは個人契約と同じですが、提出する書類等が大きく異なります。
この記事では、賃貸住居の法人契約について解説します。
個人契約については以下の記事をご参照ください
<法人>賃貸契約の提出書類
主な提出書類は
- 法人登記簿謄本
- 法人印鑑証明書
- 会社案内など
公的証明書類は全て発行から3ヶ月以内が原則です。コピーではなく、必ず原本を提出して下さい。
入居者については、身分証のコピーが求められます。
法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
普段「登記簿謄本」と呼ばれるものは正式には「登記事項証明書」。登記事項証明書には以下の4種類があります。
- 抹消された事項等も記載の「履歴事項全部証明書」
- 現に効力を有する登記事項の「現在事項証明書」
- 代表者に関する事項のみの「代表者事項証明書」
- 閉鎖した登記記録の「閉鎖事項証明書」
登記簿謄本の提出を求められた時は、一般的には「履歴事項全部証明書」を提出します。
法人登記簿謄本は実際に会社が実存することを証明。本店所在地、代表者の氏名・住所、設立目的、資本金も確認することもできます。
取得方法は最寄りの法務局。有料で取得できます。
: 交付申請書 (PDF)
インターネットで郵送による交付請求も可能です。
法人の印鑑証明書
印鑑証明書は、個人は市区町村役場等で取得できますが、法人は最寄りの法務局。登記簿謄本と同様、全国どこの法務局でも取得できます。
交付申請は有料。申請時、実印は不要で、「印鑑カード」の持参が必要になります。
: 交付申請書 (PDF)
契約時にはお早めの準備をお勧めします。
契約法人の会社案内
入居申込時は、登記簿謄本の代わりに「会社案内」の提出を求められることもあります。一般的には法人のサイトにある「会社概要」を印刷して提出します。
自社のホームページがない場合、登記簿謄本をご用意して頂くか、事業の登録許可証など、何か証明できるものが必要になります。
上場企業または準ずる企業
法人の賃貸借契約では、法人の会社規模により連帯保証人が必要ありません。家賃保証会社の契約が必須の物件でも同様です。
上場企業または準ずる企業は、保証人が不要になるケースが一般的。提出書類についても、登記簿謄本、印鑑証明書の提出が不要になります。
上場企業に準ずるかは
入居申込時に「会社案内(会社概要)」を提出することによって、貸主に判断されます。
家賃の90%を経費で落とす
一般的に社宅は家賃の50%を経費で落とせます。「賃貸料相当額」を計算すれば、家賃の90%前後を経費算入できる場合があります。
賃貸料相当額は、土地と家屋の「固定資産税評価額等証明書」を基に算出します。
法人賃貸契約の注意
民間の賃貸物件では、会社契約の場合、入居者(社員)は一代限り。会社の社員であっても入居者の入れ替わりはできません。その都度、再契約が必要となります。
中小企業の法人契約では連帯保証人を求められます。この場合、代表者を連帯保証人にできるケースは少なく、親族または社外の第三者の連帯保証人が必要です。
連帯保証人の条件は、物件ごとに異なるため確認が必要になります。
契約者である法人が倒産した場合、入居者は退去を余儀なくされます。入居者が連帯保証人の場合は、家賃未納分があれば支払の義務が生じます。
法人の規模等によっては、法人契約できない物件もあります。
法人が海外オーナー物件を借りる場合は、源泉徴収が必要になるので注意が必要です。
法人契約できない
以下の場合、法人契約ができないこともあります。
- 事業年数が短い会社
- 事業内容が不透明な会社
審査が厳格な物件では、中小企業の場合は決算書(3期分)の提出が求められます。内容次第では、賃貸契約が締結できません。
法人で契約できない場合でも、契約名義に拘なければ、個人契約で再審査が可能な場合があります。法人と個人では審査が異なるからです。賃料に見合う収入があれば、個人契約で再申し込みするケースは少なくありません。
一般的に、入居審査は個人より法人の方が厳しい傾向にあります。
貸主が海外在住の物件
貸主が海外在住(非居住者)の場合、法人は貸主に代わり賃料等の20.42%を源泉徴収して国へ納付することが義務付けられています。
転勤でお部屋探しの場合、海外オーナー物件は法人規定でまずNGになっています。
※非居住者とは、原則として日本国内に住所がなく、かつ現在まで引き続いて1年以上日本国内に居所がない日本人。
: 国税庁資料 (PDF)