2001年に開始の光インターネットサービス。従来の電話(メタル)回線を利用したADSLサービスと比べ、通信速度が飛躍的に向上しました。
共同住宅には、VDSL方式の光インターネットサービスを提供。
VDSL方式は共用部に設置のVDSL盤から住居まで、従来の電話線を利用します。既存の共同住宅でも、共用部の工事のみで光インターネット対応が可能です。
ただし、デジタルデータを一旦アナログデータに変換するため、通信速度が落ちるデメリットがあります。
共同住宅にもオール光回線の「光配線方式」のサービスはありますが、当初はVDSL方式が一般的でした。
共同住宅に光配線方式が普及した決め手は、2007年頃に導入された「光コンセント」。入居者が入れ替わる賃貸では、前入居者が設置した光コンセントが残存すると、以降は室内工事なしで光回線が利用できます。
光配線方式の共同住宅は、ネット代無料のマンションを除き、屋内工事費を最初のインターネット契約者(入居者)が負担しなければなりません。スマホの普及もあり、賃貸では固定回線を契約しないケースも珍しくありません。
光配線方式の賃貸を借りる場合は、光コンセントの有無も要チェックです。
この記事では「光コンセント」と光回線開通工事について解説します。
光コンセント
下の画像は2010年完成の高級賃貸の1LDK。光コンセントがある部屋とない部屋。
2018年の同時期に撮影しました。
201号室はマンション完成当時のままのコンセント。
右列・電話ジャック下にはケーブル取り出し口。光ケーブルを想定していたと思います。おそらく、今までに光インターネットが契約されたことがない部屋です。
403号室は光インターネットを契約した痕跡のあるコンセント。
表面のプレートを取り替え、光ケーブルを露出することなく、代わりに光コンセントが右端に増設されています。
この様に、光コンセントは光インターネット契約後に初めて取り付けられます。前の入居者が光配線方式のインターネットを契約していなければ、光コンセントはありません。
光コンセントの構造
403号室のコンセントプレートを剥がすと、光コンセントのユニットが確認できます。
室内工事は、コンセント内3列の一番右ユニットを取り外し、光コンセント増設用に交換。電話ジャックを中央に戻し、最後にプレートを交換。
フルカラープレートであれば、1or2列のコンセントでも同様に増設できます。
※単独で増設することも可能:参考写真
壁の中を見ると、オレンジ色の配管。この配管を通って光ケーブルを配線します。
通常、電話ジャックのあるコンセントは、通信用の配管が敷設されています。住居内から共用部に連結する唯一の経路です。
この配管の有無で、光ケーブルが室内に引き込み可能か判断できます。
光ケーブル+SCコネクタ シャッター付
光コンセント普及前のマンションでは、後付された光コンセントの形状が様々です。
写真のコンセントは4列ユニットのため、プレート一体型で施工できなかった例。右端の下から光ケーブルが露出しています。
光ケーブルの先端にはSCコネクタ。その先には、光線が目に当たらないようにシャッターが付けられます。通常の光コンセントとは見た目が違いますが、機能的にはまったく同じ「光コンセント」です。
この光コンセントは玄関収納の中。収納棚にONUとルーターを設置。LAN配線を経由して各部屋に設置されたLANコンセントからインターネットが利用できます。
一見、LAN方式に見えますが、LAN配線は住居内(専有部)だけです。
廃番になった?希少な光コンセント
写真は、滅多に見かけない光コンセント。見た目が電話やLANコンセントのよう。理想の形状かもしれません。
挿込口にはロック付きのシャッター。レーザー光が飛ぶ出すのを防ぎます。
普及しなかったのは、おそらく施工性の悪さ。光ケーブルは硬いため、狭い壁内では壁面に垂直に配置するのが困難です。また、覗いたときに、目にレーザー光があたる危険性もあります。
光コンセントのメリット
光コンセントの登場以前は、入居者が入れ替わる毎に、光回線終端装置(ONU)を設置する室内工事が必要でした。
室内に光コンセントがあることにより、建物内の配線工事が合理化できます。マンション内に一度敷設された光ケーブルと光コンセントは、次の入居者(契約者)も再利用できます。
光コンセントが室内にあれば、工事は費用の安い無派遣工事。面倒な工事立会も不要。
回線業者から送られてきた「ONU」を光コンセントに接続するだけで、光インターネットが利用できます。
回線事業者間の再利用
光ケーブル&光コンセントは回線事業者の所有物です。そのため、事業者間の再利用ができません。
NTTのフレッツ光回線を利用する光コラボに限れば、光コラボ間の再利用は可能です。
現状、光回線の再利用ができるのはフレッツ光回線のみです。それ以外の回線事業者(au、nuroなど)は、開通時に必ず派遣工事が必要になります。無派遣工事はありません。
光コンセントの確認方法
光配線方式の賃貸マンションとは、室内まで光ケーブルが敷設されているマンションではありません。光配線方式に対応しているだけです。
前入居者が光配線のインターネットを契約していれば、室内に光コンセントが残っています。大抵は、電話ジャックのあるリビングなどに設置されてます。
光コンセントが見つからない、又はあるかどうかを確認したい場合。
仲介不動産屋、マンション管理会社では当てになりません。NTTに確認するのが確実です。
※お住まいエリアのNTTサイトにお問合せ先(TEL)が記載されてます
賃貸契約前あれば、「これから入居予定」と伝え、マンション名と部屋番を伝えれば、光コンセントのある・なしがわかります。
室内に光コンセントがあれば、無派遣工事の可能性が高くなります。
光ケーブルの配線工事
入居者が直接インターネット契約をするマンションは、新築時に光ケーブルが配線されていません。
先述したとおり、光ケーブルは入居者のインターネット契約後に初めて開通工事時を行います。通信用に用意された室内の配管を経由して、共用部から室内に配線します。
配管内には、通常「呼び線」が通されています。材質は現場によって異なり、紐、針金、実線など。この「呼び線」の先端に光ケーブルを連結し、室内から光ケーブルを引っ張り出します。
古い物件では、「呼び線」がないことも珍しくありません。その場合は、専用の工具(通線ワイヤー)を使って入線します。ただ、配管の曲げが急であったり、途中潰れていると入線できなくなります。
配管自体がない物件は、露出配線。
建物に穴を開け、貫通させなければならない箇所があれば、建物所有者の了解が必要となります。
共用部から室内まで光ケーブルが引き込めない場合は、光配線方式のインターネットは諦めなければなりません。
光コラボの開通工事費
光コンセントが室内にあれば、開通工事は無派遣工事になります。
無派遣工事費は2,200円(税込)。
派遣工事なしで、光インターネットを開通できるのは、光コラボを含むフレッツ光だけです。
派遣工事が必要な場合の開通工事費は
- 共同住宅:16,500円(税込)、戸建住宅:19,800円(税込)
- 屋内配線を新設しない場合は共通で8,360円(税込)
上記はNTTフレッツ光の標準工事費。光コラボの開通工事はNTTが行いますが、工事費はNTTよりも高く設定している光コラボもあります。
古い物件では現地調査を要する場合があり、開通時期がその分遅くなります
無派遣工事を設定していない上、工事費を高く設定している事業者もあります。
この場合、キャンペーンで実質無料になりますが、途中解約すると、その分残債も多くなるので注意が必要です。
開通工事費の負担をなしにする方法
開通工事が必要な光インターネット契約は、工事費無料特典またはキャンペーンで工事費の負担をなくせます。
工事費(一括払い)無料特典・キャンペーンのある光コラボ
ドコモ光は工事費無料特典を実施中。SoftBank光は実質工事費が無料のキャンペーンを開催しています。
※詳細は公式サイトでご確認ください
両社とも、スマホとセットの「セット割」でお得に利用できます。
エキサイトMEC光も工事費無料キャンペーン実施中。 新規契約限定で12ヶ月間の料金割引、最安料金で光インターネットが利用できます。
※キャンペーンは予告なく終了します
DTI 光はキャンペーンを実施中。
開通7ヶ月後に工事費相当額がキャッシュバックされます。
「DTI x au セット割」は毎月最大1,320円割引。
まとめ
フレッツ光回線(光コラボを含む)でインターネット契約する場合、お部屋に光コンセントがあれば、開通工事費が安くなる可能性があります。
光コンセントがあり、工事費が安くなった場合は前入居者に感謝です。
無派遣工事がない事業者は、高額な工事費を分割割引しています。既設の光コンセントを利用したとしても、中途解約すれば工事費の残債が請求されます。
光ファイバーケーブルと光コンセントは回線事業者のものです。建物の設備ではありません。光インターネット解約時に、本来は撤去しなければなりませんが、賃貸に限っては残置が可能です。
古い賃貸では、ひかり配線方式であっても、光コンセントが設置されていないことは珍しくありません。