インターネット通信をIPv6にすると、速くなるのはよく知るところです。
某日、「Wi-Fiルーターを替えると速くなる」との記事を見かけました。
速さの秘密は「IPv6ブースト」。
「IPv6ブースト」はWi-FiルーターのIPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)通信でのデータ処理プログラムを見直し、ハードウェアの性能を最大限に発揮できるようチューニングを施した当社独自の技術です。
当社Wi-Fiルーターで通信を行う際のデータ処理の適正化を行うことで、最大で従来比約4倍の高速化を実現いたしました。
なんだか眉唾もんだな。本当かなー?
I-O DATA「IPv6ブースト」は、特定のWi-Fiルーターを対象に、ファームウェアのアップデートにて提供されています。
なんと、現在利用中のWi-Fiルーターが対象機種でした。しかも、既にアップデートされている。
なんだ
先月からIPv6ブーストだったみたい
そもそもWi-Fiルーターだけで、通信速度が本当に速くなるのか?
数値の上では、確かに速くなるようです。インターネットの低速でお悩みの方は試してみる価値ありです。
この記事では、I-O DATA「IPv6ブースト」についてご紹介します。回線事業者とWi-Fiルーター選びの参考になれば幸いです。
I-O DATA、Wi-Fiルーターに「IPv6ブースト」提供
株式会社アイ・オー・データ機器(I-O DATA)はWi-Fiルーター用ファームウェア Ver.1.31から、「IPv6ブースト」機能の提供を開始しました。
「IPv6ブースト」機能とは、IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)通信を高速化するI-O DATA社独自の通信技術。従来比最大4.19倍(メーカー実測)の通信速度を実現します。
ファームウェア更新は出荷時設定で「自動」になっています。
- WN-AX1167GR2
- WN-AX2033GR2
- WN-DX1167R
ファームウェアはWN-AX1167GR2から配信され、2019年末までに対象機種すべてに配信されます。
I-O DATA IPv6ブーストに対応する機種
「IPv6ブースト」対応Wi-Fiルーターは、有線LAN速度が1Gbps。Wi-Fiは「360コネクト」技術で家中に電波が届きます。
MAP-E方式(v6プラス、v6オプション、OCNバーチャルコネクト)とDS-Lite方式のtransixにも対応します。
MAP-E、DS-Liteとは「IPv4 over IPv6」の通信方式。現在はMAP-E方式が主流です。
WN-TX4266GR/E
- [Wi-Fi]1733Mbps(11ac)、800Mbps(11n)
- [サイズ/重量]270(W)×67(D)×218(H)mm / 約690g
- [利用目安]4LDK/3階建/接続台数36台
WN-DAX1800GR/E
- [Wi-Fi]1201Mbps(11ac)、574Mbps(11n)
- [サイズ/重量]180(W)×120(D)×186(H)mm / 約450g
- [利用目安]4LDK/3階建/接続台数20台
WN-AX1167GR2(生産終了)
- [Wi-Fi]867Mbps(11ac)、300Mbps(11n)
- [サイズ/重量]150(W)×83(D)×157(H)mm / 約250g
- [利用目安]4LDK/3階建/接続台数16台
後継機:WN-DX1167GR
IPv6ブースト対応
WN-AX2033GR2(生産終了)
- [Wi-Fi]1733Mbps(11ac)、300Mbps(11n)
- [サイズ/重量]180(W)×120(D)×186(H)mm / 約410g
- [利用目安]4LDK/3階建/接続台数16台
後継機:WN-DX2033GR/E
IPv6ブースト対応
WN-DX1167R(生産終了)
- [Wi-Fi]867Mbps(11ac)、300Mbps(11n)
- [サイズ/重量]150(W)×87(D)×150(H)mm / 約250g
- [利用目安]4LDK/3階建/接続台数16台
後継機:WN-DX1167GR
IPv6ブースト対応
<参考>無線LANの通信規格
無線LANには国際標準規格があります。
例えば「11n」と表記された場合、正確には「IEEE(アイ・トリプルイー)802.11n」です。
現在普及しているのは5規格。それぞれは周波数帯と最大通信速度が異なります。
規格 | 周波数帯 | 最大通信速度 |
---|---|---|
IEEE802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
IEEE802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
IEEE802.11a | 5GHz | 54Mbps |
IEEE802.11n | 2.4GHz | 600Mbps |
5GHz | ||
IEEE802.11ac | 5GHz | 6.9Gbps |
5GHzは2.4GHzよりも通信速度が向上しますが、通信距離が短くなるデメリットがあります。
次世代Wi-Fi規格の「Wi-Fi6」
IEEE802.11ad | 60GHz | 6.8Gbps |
IEEE802.11ax (Wi-Fi 6) | 2.4GHz | 9.6Gbps |
5GHz |
WN-AX1167GR2のアップデート
Wi-Fi無線LANルーター「WN-AX1167GR2」を光コラボ「ぷらら光」からレンタル中。
ぷらら光のIPv6(IPoE/IPv4 over IPv6)接続サービス(ぷららv6エクスプレス)はMAP-E(OCNバーチャルコネクト)方式です。
ファームウェアVer.1.31のアップデートを確認後、速度テストを行いました。
I-O DATA「IPv6ブースト」の速度テスト
速度テストは平日の夜10時半ごろ。
Google「インターネット速度テスト」を試しました。
どちらもテストを繰り返し、平均値に近いデータを公開しています。
アップデート後のIPv6ブーストは速いです。特にアップロードが倍速。
インターネット通信速度が最大4倍速に
I-O DATA公式サイトの測定データによると
IPv6 IPoE(IPv4 over IPv6)通信において、従来のファームウェアとアップデート後のIPv6ブーストを比較した場合
DS-Lite方式のIPv4送信で最大4.19倍のブースト効果があります。
I-O DATA 測定データ
公式データを見る限りでは、「IPv6ブースト」高速化はDS-Liteに効果があるようです。
MAP-E方式の光インターネット
MAP-E方式「IPv4 over IPv6」を提供する、主な光インターネット回線事業者
- ドコモ光(ドコモnet以外)
- So-net光
- ぷらら光
- DTI光
ドコモ光
ドコモ光はプロバイダが自由に選べる唯一の光コラボ。
「ドコモnet」以外からプロバイダを選択すると、「IPv4 over IPv6」はMAP-E方式になります。
So-net光
月額料金の安さが魅力ですが、3年契約です。4年目からは料金がかなり上がります。
ぷらら光
契約期間なし、月額料金も安いです。
DTI光
契約期間なし、月額料金も安いです。開通工事が必要な場合は、キャッシュバックがあります。
DS-Lite方式の光インターネット
DS-Lite方式の「IPv4 over IPv6」を提供する光インターネット回線事業者
- ドコモ光(ドコモnet)※「OCNバーチャルコネクト」と併用
- 楽天ひかり
- excite MEC光
- IIJmioひかり
- enひかり
ぷらら光は当初DS-Lite方式でしたが、現在はOCNバーチャルコネクトを提供しています。
DS-Lite方式はインターネットマルチフィード社が提供する「transix」がメジャーです。
ドコモ光(ドコモnet)
ドコモ光はMAP-E方式ですが、プロバイダ「ドコモnet」だけは、DS-Lite(transix)とMAP-E(OCNバーチャルコネクト)方式を併用しています。
楽天ひかり
「Rakuten UN-LIMT」と同時契約がおすすめです。
楽天ひかりのDS-Liteは、アルテリア・ネットワークス社が提供する「Xpass(クロスパス)」です。
excite MEC光
契約期間なし、月額料金も安い。
DS-Lite(transix)方式を確実に選択できます。
まとめ
実際にテスト数値を見ると、「IPv6ブースト」は確かに効果があるようです。ルーターのファームウェアをアップデートするだけで、速くなるのは驚きです。
正直なところ、「前よりも速くなった」とは実感できていません。アップデートも知らない間の出来事でした。
速度テストを見る限り、効果があるのはアップロード。サイトの閲覧だけでは、IPv6ブーストの効果が実感できないのは当然かも。そもそも通信速度に、今も昔も不満はありません。
IPv6サービスを利用中で通信速度に不満がある場合は、Wi-Fiルーターの買い替えを検討してみる価値はあると思います。
注意
本記事で紹介した回線事業者のIPoE/IPv4 over IPv6方式は、今後変更になることもあります。
I-O DATA公式サイト「IPv6(IPoE)接続動作確認済みサービス一覧&対応機器」にて対応機種をご確認ください。