ある日気づいたら、部屋の窓ガラスにヒビが入っていたことありませんか?
寒い冬から春になるころ、急に気温が上がったころ。ベランダ側の窓ガラスに大きなヒビが!?
賃貸の退去時に、カーテンを外したらヒビが隠れていた!?
「何かぶつけたかな?」
「誰かぶつけたのかな?」
記憶にありませんよね。
実は「網入りガラス」は自然に割れます。(怪奇現象ではありません)
ええっ!!それってどうゆーこと?
それでは、網入りガラスが割れる原因について解説します。
賃貸の退去時に網入りガラスが割れているとき
賃貸を退去する時、窓にヒビがあれば、立ち合い時に間違いなく管理会社または大家さんから弁償を要求されます。
この時、貴方の過失によるヒビ割れでなければ、自然に割れたことを主張してください。
知識があれば、弁償は免除になる場合があります。
プロであるガラス屋さんが見れば
ぶつけたヒビか、自然に割れたヒビかぐらいは判断できるはずです。
「ガラス屋さんが見て『明らかにぶつけたヒビ』なら弁償します」と管理会社の方に伝えたところ、その後、請求はありませんでした
退去立ち合いをされる管理会社の担当者さんも、網入りガラスが自然に割れることぐらいは知ってます。いや、知っているはず。
それでも、割れたガラスを見れば現状復旧を求めます。
網入りガラスにヒビが入るのは、なんら珍しくありません
割っていないことの証明はできません。ですが、陽の当たるガラスであれば、自然に割れることを主張するしかありません。
堂々と「故意過失で割っていない」だね!
網入りガラスが自然に割れる原因
網入りガラスが知らないうちに割れている原因は、間違いなく「熱割れ」です。
熱割れは南向きの窓で発生するケースが多く。特に冬季は、暖かい室温と外の気温の温度差により、ガラスの膨張率の差によってヒビが入ります。
同じ理屈で、夏の室内でのクーラーの冷気がガラスの一部に吹き付けられると、温度差が生じて同様にヒビが入ります。
網入りガラスの割れ要因をまとめると
- ガラスの面積が大きいほど熱割れしやすい。
- ガラス面に部分的に日陰ができると熱割れしやすい。
- カーテン、ブラインドによりガラス面との間に熱がこもりやすくなると熱割れしやすい。
- 射熱吸収率の高いフィルムをガラス面に貼ると熱割れしやすい。
- ガラスのエッジ仕上げが雑な場合、網の端部からサビやすい。
住居の場合は3、カーテンのたまりに要注意!
熱割れ以外の原因として錆びも。
中に入っている網の劣化による錆びが原因で、網の体積が膨張してガラスに力が加わりヒビが入ります。
ところで網入りガラスとは
網入りガラスとは、『金網を中に挟んだ板ガラス』のことで、2種類あります。
一般的に見られるのは「菱形ワイヤー」。発注時に指定がなければ「菱形ワイヤー」が設置されます。
「クロスワイヤー」は垂直ラインに拘りのある物件、デザイナーの意向で指定されるケースが多いようです。
厚みは6.8ミリと10ミリ。住宅の窓程度であれば6.8ミリが一般的。
因みに
縦方向だけにワイヤーが等間隔で平行に入ったガラスは、網入りガラスではなく「線入りガラス」です。
網入りガラスの強度
網入りガラスの強度はガラスの中に異物(鉄網)が入るため、普通のガラス(フロート板ガラス)に比べ劣ります。
上表を見ると
フロート板ガラス(透明ガラス)厚さ8ミリの破壊応力が54.9。網入透明ガラス厚さ10ミリの破壊応力が36.8。網入ガラスは強度が弱いのが確認できます。
網入りガラスは、ワイヤー形状のほか2種類あります。
透明な磨板ガラスと、視線を遮る型模様をつけた型板ガラス。強度と値段は磨板ガラスが上です。
網入りガラスは防犯ではなく防火用
網入りガラスは、多くの建物に使われています。あまり見た目が良くないのに、なぜ、使われているのでしょう?
網入りガラスは防火設備の一種。建築基準法により防火地域、準防火地域内の建築物で、隣地や道路境界近くには網入りガラスの取り付けが定められています。
網入りガラスは、火災時にガラスが割れても破片が飛散しないので、避難時の怪我や隣家への延焼を防止してくれる目的で使われています。
網入りガラスは防犯用じゃなかった
網入りガラスは、防犯に有効と思っていませんか?
ガラス間に鉄網が入っているので一見、頑丈で強いガラスのイメージがあります。割れるガラスを鉄網で強固にしているように見えます。
でもこれは間違い。
強度的にも弱く、鉄網も普通の工具で簡単に切断できます。防犯に有効どころか、逆に泥棒に狙われやすい面があります。
泥棒は、ガラスを割ってサッシのクレセント錠を外して侵入します。ガラスを割るときに網入りガラスだと飛散せず、音が最小限。泥棒にとっては好都合なのです。
今お住いの窓は、網入りガラスですか?