日活ロマンポルノ創設45周年を記念した「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」5作品が2016年11月から順次公開されました。
ところで、「ロマンポルノ」はご存じですか?
日活ロマンポルノとは、1971年から1988年にかけて日活が制作・配給した成人映画のレーベル。
わざわざ映画館まで行ってエッチな映像を見ていた時代に、自宅で手軽に観られるアダルトビデオが登場すれば、ロマンポルノの時代が終焉するのは当然のことです。
制作終了から約30年の時が経って、あのロマンポルノが復活しました。「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」として。
この復興プロジェクトでは、ロマンポルノ独自の撮影スタイルを引き継ぐものの、一部のルールを現在のフォーマットに置き換え、新たな条件が追加されました。
- 総尺80分前後
- 10分に1回の濡れ場
- 製作費は全作品一律
- 撮影期間は1週間
- 完全オリジナル作品・脚本
- ロマンポルノ初監督
プロジェクトに参加した監督は5人
- 行定勲
- 塩田明彦
- 白石和彌
- 園子温
- 中田秀夫
最前線で活躍する実力派の映画監督ばかりです。もちろんロマンポルノ初監督。
公開された作品はすべて「R18+」より下の「R15+」。かつて成人向け(20歳以上)映画として制作されたロマンポルノも、現代では高校生からでも鑑賞できるレベルです。
因みに2022年4月から成年年齢は18歳に引き下げ。
平成の「ロマンポルノ」は成人向け映画ではありません。15歳から鑑賞できる一般映画。鑑賞時間は約80分、ちょっとエッチな映画が見たいだけでも気軽に観られます。
一周回って、これぐらいソフトな濡れ場の方が新鮮で、逆に興奮すかもしれません。
ロマンポルノが懐かしい世代はもちろん、未体験世代も、現代版ロマンポルノを一度ご鑑賞あれ。
ROMAN PORNO REBOOT 作品レビュー
日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト作品を全部観て。
個人的に良かったのは
- 「牝猫たち」(白石和彌 監督)
- 「ジムノペディに乱れる」(行定勲 監督)
2作品、ちゃんとして映画です。濡れ場を期待するだけでなく、最後までストーリーに没入しました。本当に同じ予算なの?と疑うくらい、俳優陣やロケ撮影が他作品よりも充実しています。
以下の2作品は昭和のロマンポルノをオマージュしたような感じ。ストーリーよりも濡れ場を楽しむ作品でした。
- 「風に濡れた女」(塩田明彦 監督)
- 「ホワイトリリー」(中田秀夫 監督 )
園子温監督の作品は『ロマンポルノじゃないよね』と言いたくなる映画。全然エッチじゃない。タイトルが「アンチポルノ」なんだから思惑通りなのかもしれません。
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白石和彌 監督「牝猫たち」
牝猫たち(84分)
ネットカフェで寝泊まりする元OLの雅子。子供に愛情を注がないシングルマザーの結依。病気で子供が産めなくなった主婦の里枝。3人は同じデリヘルで働く。雅子は裕福な引き籠り男、結衣はお笑い芸人、里枝は妻に先立たれた独居老人を客とする。デリヘリ嬢3人の日々の心の動きを描く群像劇。
濡れ場女優(デリヘル嬢役):井端珠里(元OL)、真上さつき(シングルマザー)、美知枝(主婦)
行定勲 監督「ジムノペディに乱れる」
ジムノペディに乱れる(82分)
かつて名声を得た映画監督の古谷(板尾創路)。現在は学校の先生で生計を立てる日々。久々の撮影が始まるものの、俳優の降板で撮影が中止に。予算が少なく、どうせつまらない映画と吐き捨てる古谷は自暴自棄に。職場の女、学校の生徒、降板女優、ナースと出会うごとに身体を重ねる。ナースの居る病床には・・・。
参考 「ジムノペディ」とはピアノ独奏曲。三拍子のゆったりとした曲調の名曲
濡れ場女優:芦那すみれ(生徒)、岡村いずみ(女優)、田山由起(職場の女)、田嶋真弓(元嫁)、木嶋のりこ(ナース)
塩田明彦 監督 「風に濡れた女」
風に濡れた女(77分)
女遊びと都会の生活に嫌気がさし、地方の掘立小屋で禁欲的に暮らす元劇作家の高介(永岡佑)。海辺で読書する高介の前に、自転車で海に飛び込む不思議な女・汐里が登場する。汐里は高介に付きまとい小屋に泊めてくれるよう頼む。ある日、劇団が高介の小屋に訪れる。劇団の女、汐里、次々と身体を重ねる高介は・・・。
濡れ場女優:間宮夕貴(汐里)、鈴木美智子(演出家)、中谷仁美(助手)
中田秀夫 監督 「ホワイトリリー」
ホワイトリリー(80分)
著名な陶芸家・登紀子に拾われ、助手として家事も手伝うはるか。師弟愛を超えた2人が同居する家に、有名陶芸家の息子・悟が弟子として居候することになった。彼女がいる悟はそれを承知で身体を求める登紀子に応じる。登紀子と悟の関係を心配するはるか。そんな3人の元に悟の彼女が・・・。
濡れ場女優:飛鳥凛(はるか)、山口香緒里(陶芸家)、西川可奈子(悟の彼女)
「リング」の中田秀夫が監督
園子温 監督 「アンチポルノ」
アンチポルノ(75分)
極彩色の部屋に1人で暮らす京子。時代の寵児として脚光を浴びる京子の元にマネージャーが分刻みのスケジュールを伝えにやって来る。やがて雑誌の取材が始まり、エキセントリックな言動で対応する京子は突然虚構の世界に。現実と虚構を彷徨う中で、京子の隠された過去が明かされる。
濡れ場女優:冨手麻妙(京子)、筒井真理子(マネージャー)、下村愛(助手)、吉牟田眞奈(継母)
ロマンポルノ リブート プロジェクト 注目の女優
日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト2016作品の中で注目の女優は。
- 「アンチポルノ」の冨手麻妙
- 「風に濡れた女」の間宮夕貴
冨手麻妙
「アンチポルノ」主演の冨手麻妙。元AKB48研究生(8期生)。
この映画では弾けるような裸体を惜しみなく披露しています。残念なのは、濡れ場がセーラ服姿なこと。後に公開の「娼年」では、松坂桃李を相手に裸で濡れ場を演じています。
間宮夕貴
「風に濡れた女」主演の間宮夕貴(2018年に桝田幸希に改名)。キムタクの娘Kōkiにどことなく似た女優さん。
2010年代に数多くの映画で脱いでます。2013年公開の「甘い鞭」では主演(壇蜜)の17歳役で過激な濡れ場を演じています。