住居のメンテナンスで気をつけたいのが「結露(けつろ)」。
主に冬季の窓際で発生。断熱性に劣るアルミサッシ&ガラス面の表面温度と室内の温度差による表面結露は、やがて床をも濡らします。
放置すれば、カビの発生原因に。
断熱性の高い建材を使えば、表面結露は起こりにくくなりますが、既にお住まいの住居では別の対策を講じる必要があります。
この記事では、共同住居(マンション)でも可能な結露対策についてご案内いたします。
結露の原因
先ずは、結露の原因を知る必要があります。
- 木造住宅よりコンクリート住宅の方が結露は起こりやすい。コンクリート住宅は気密性が有り、自然換気がしにくい構造。
- 南側より、北側・西側の方が起こりやすい。
- 空気の流れがないと結露は起こりやすい。
- 温度が下がると結露は起こりやすい。高温になるぼど多くの水分を含むことができ、低温になるほど少ない水分しか含むことが出来ない。
仮に室温20度としたとき、空気中(約1m3.100%)に含むことが出来る水蒸気の量は約17g位。室温が15度に下がると、約13g位の水分の量しか含むことが出来ません。
室温が下がり水分の量に変化がなければ、余った約4g位の水分は空気中に含むことができず、水滴などの形になって現れます。
これが、結露です。
たとえば、冷凍庫で冷やしたジュースをグラスに注ぐ。しばらくすると表面に水滴が現れます。これは、グラスの表面温度が周囲の温度より低く、グラス周辺の空気温度が下がって含みきれない水分がグラス表面に水滴となったからです。
結露の対策
既存住宅にできる結露の対策は、換気と水蒸気の抑制。
調理や食事中、洗濯物干しなど、水蒸気を発生させる原因はいろいろあります。そのようなときは、必ず換気扇を使用してください。
「夏型結露では、湿度の高い外気が問題となるため、換気は結露を促進してしまう」とのことです。
もっとも手っ取り早く、除湿するには「除湿機」の利用です。
換気扇の使用
室内にある水蒸気の排出は、換気扇による強制換気が効果的です。
換気は排気だけでは有効な換気ができません。意外と知らない方が多いのですが、換気には給気も必要です。
換気とは、室内に空気の流れを作ることです。
現在の建築基準法では、24時間換気が義務付けられています。
2003年7月1日施行。
機械換気の設置を義務付け。1時間当たり、部屋の空気半分を入れ替えること。
おそらく2004年(平成16年)以降に完成した住居であれば、換気扇と吸気口はセットで設置されています。
給気口から外気を吸い、換気扇から室内の空気を排出します。
法改正(24時間換気)当初は各居室に換気扇を設置し、「スイッチは付けていけない」と噂されていました。結局、換気扇は水廻りだけでも良く、スイッチも通常の物に落ち着きました。
換気経路は各居室に給気口を設け、室内の扉下(すきま)経由で水廻りの換気扇から排出します。
24時間換気が周知されていないせいか、節電指向もあり、多くの住居では24時間換気は実行されていません。
現実、窓を開け風通しが確保できれば、換気扇を24時間も回す必要はありません。
給気のない換気扇回し(排気)は、室内の空気&水蒸気を効率よく排出することはできません。部屋に給気口がない場合は、窓を開ければ大丈夫です。ただし、排気量に見合った適切な給気が必要なため、窓は少しだけ開けてください。
※給気とはストローで吸い込むようなイメージです
給気口
ところで、給気口を知っていますか?
マンションの場合
多くはバルコニー側の外壁に付いてます。
「壁に付いてるコレ(給気口)なんですか?」
賃貸の内見時に、聞いた覚えはありませんか。
写真はプラスティック製の四角(150mm角ぐらい)ですが、丸形もあります。押すと手前に出て、枠との間に隙間ができます。ここが給気口。見てのとおり、給気はすき間で十分です。
あなたのお部屋に付いていますか?
触ったことはありますか?
ここを開けずに換気扇を回すだけでは、空気の流れは換気扇廻りだけになります。室内全体の有効な換気ができません。冬場の換気は、寒くても開けましょう。
サッシの換気用スリット
古い住居は、プラスティック製「給気口」が付いてません。
窓の上部に換気用小窓があったり、サッシ上部がスライド式の換気框になってたりします。そこを開ければ給気ができます。
水蒸気の発生を抑える
結露予防は、室内に水蒸気を増やさないことも大切。
そのためには
外気に面する建具についた水滴は、速やかに拭き取る。調理中は換気扇を回す。洗濯物の室内干しは、浴室で換気扇を回す。リビングに干す場合はキッチンの換気扇を回し、窓を少し開ける。
石油またはガスファンヒーターは、燃焼させているときに大量の水蒸気を発生させています。そのままにしていると空気中の湿度がどんどん上り、水蒸気の逃げ場がないと表面温度の低い箇所で結露が始まります。
加湿器も水蒸気の逃げ場がないと結露します。
燃焼系ファンヒーターや加湿器の使用は換気がセット。ガラス等が結露したら直ぐに拭き取りです。
結露の発生場所
外気に面する部分以外で、結露によるカビを注意しなければならない箇所は、浴室と収納。
浴室は特に水蒸気が多いので、居室へ流入しないように風呂の蓋閉めや換気が重要です。
浴室
水蒸気を居室へ流出させないことも大事ですが、換気とカビには注意したいです。使用後の換気だけでなく、天井&壁の水分を拭き取ることでカビは予防できます。
ここでも効果的な換気は、給気。
換気時に出入口扉は閉めていますか?
浴室扉の下部には給気用スリットが付いてます。換気扇を回すと、そこから空気が流入し、浴室内に空気の流れを作ります。
お風呂の扉を開けたまま、換気扇を回していませんか?
十分な換気ができないばかりか、浴室の水蒸気が洗面室に流出してしまいます!
押入・クロゼット
押入やクローゼットは換気をしても空気の入れ換えが非常に少なく、水蒸気が滞留する場所となっています。
晴れた日には時々押入やクローゼットの扉を開け、その中の空気を入れ換えることが必要。湿気が続いたままにしておくと、中で滞留した水蒸気は逃げ場を失い、室温が低くなると結露となって現れます。
特に押入天袋を締め切ったままにしていると、気付いた時には大惨事の場合があります。
結露とカビ&ダニ
結露とカビ・ダニとは、密接な関係を持っています。
一般にカビ・ダニ等は、室温20~30度、あるいは湿度60~80%が最もその生育に適した温湿度条件だといわれています。結露の発生する前の状態が続くとカビ・ダニの発生を促します。
カビの胞子は、その育成に必要な条件が整わないと発芽しません。一旦条件が整えばたちまち発芽して広範囲に広がります。なので、結露状態を放置しておくと壁や天井のクロスや塗装が黒くなったりしてきます。
ダニも条件が整うと発生します。室内を乾燥させることと合わせ、ダニのえさとなるゴミやホコリ・食べ物ぐずをシャットアウトすることが大切です。室内の清掃はこまめに、特にカーぺットは念入りに掃除する必要があります。できれば天日に当て、除湿・殺菌をするのが理想です。