平成29年10月1日、名古屋市では、条例により自転車損害賠償保険等への加入が義務化されました。
自転車の利用者(未成年の場合はその保護者)は保険に加入しなければなりません。
自転車損害賠償保険等の加入促進に関する条例は、全国の自治体で制定されています。
自動車やオートバイと同様、自転車も事故を起こせば損害賠償責任を負います。相手方を死傷させた場合には、高額な損害賠償が命じられます。
条例の有無に関わらず
事故による被害者の保護と加害者の経済的負担を軽減するため
自転車損害賠償保険等には必ず加入しましょう。
自転車損害賠償保険の条例を制定している自治体
2018年12月現在
自転車利用者に対して、自転車損害賠償保険等の加入促進に関する条例を制定している自治体は以下の通りです。
加入を義務づけている自治体
加入を義務づけているのは6府県5政令市。
都道府県(6)
埼玉県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、 鹿児島県
政令市(5)
さいたま市、相模原市、名古屋市、京都市、堺市
保険加入は義務ですが、加入しなくても罰則はありません。
条例では、未成年者が自転車を利用する場合は、保護者に保険に加入する義務を課しています。
加入を努力義務としている自治体
加入を努力義務としているのは10都道県3政令市。
都道府県(10)
北海道、群馬県、千葉県、東京都、鳥取県、 徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、熊本県
政令市(3)
千葉市、静岡市、福岡市
自転車事故は全国で起きています。被害者の方がきちんと補償を受けられるように保険に加入しましょう。
自転車損害賠償保険とは
自転車損害賠償保とは、自転車の利用に係る交通事故により生じた他人の生命又は身体の被害に係る損害を填補することを約する保険のこと。
個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険などの「特約」として付帯している場合もあります。複加入とならないよう、確認してみてください。
自転車による高額賠償事例
判決認容額9,521万円(神戸地方裁判所 平成25年7月4日判決)
男子小学生が夜間、自転車で帰宅途中に歩行中の女性と正面衝突。女性は頭がい骨骨折等で意識が戻らず、監督責任を問われた母親に賠償命令。
賠償責任は、未成年といえども責任を免れることはできません。
発生年 | 事故の概要 | 賠償額 |
---|---|---|
2012年 | 自転車で男子生徒が歩道を走行中、歩行中の成人女性と正面衝突、相手方は頭部を損傷し、その後死亡。傘差しによる前方不注意が原因。 | 約2,080万円 |
2013年 | 男子児童が自転車走行中、成人女性の自転車に衝突、相手を負傷させる。一旦停止を無視し進入したことが事故の原因。 | 約1,870万円 |
2015年 | 女子児童が自転車で走行中、信号がない交差点で二輪走行中の成人男性と衝突、相手方は重傷を負った。 | 約1,620万円 |
2017年 | 男子生徒が自転車で走行中、犬の散歩をしていた成人女性と接触。女性は転倒し頭部を強打。 | 約7,170万円 |
自転車の事故でも、被害の大きさによっては数千万円の賠償金を支払わなくてはなりません。
賠償責任は、原則未成年でも免れることはできません。責任能力がない子どもの場合には、保護者の監督責任(賠償責任)が問われます。
保険会社の自転車向け保険
自転車向けの保険をピックアップします。
補償金額は保険会社または保険料コースによって異なります。そのため、保険料だけでの単純な比較はできません。
詳細はリンク先の公式ページでご確認ください。
自転車保険の保険料
各社の年払保険料 ※月払は省略
Aコース | Bコース | Cコース | |
三井住友海上 (3億) | 個人:3,990円 家族:7,210円 | 個人:5,320円 家族:10,510円 | 個人:7,230円 家族:13,980円 |
au損保 (2or3億) | 個人:3,920円 家族:8,090円 | 個人:6,560円 家族:14,860円 | 個人:11,940円 家族:22,250円 |
東京海上日動 (1億) | 個人:4,060円 家族:7,920円 | 個人:5,600円 家族:12,030円 | |
楽天 (1億) | 個人:1,960円 家族:3,380円 | 個人:3,350円 家族:6,830円 | 個人:5,380円 家族:12,170円 |
※夫婦型の保険料は省略
保険会社名下の( )内金額は個人賠償責任の補償額。
保険は個人型と家族型のほかに夫婦型もあります。保険料は個人と家族のほぼ中間です。
保険の申し込みは、リンク先の各公式ページからできます。
楽天超かんたん保険の自転車保険プラン
楽天会員限定の「楽天超かんたん保険」は、楽天市場から簡単に自転車保険への加入ができます。
個人賠償責任の保険金額は1億。過去の判例から見ると、最高賠償額の範囲内で妥当な補償額です。
ご自身の傷害についても、保険料に応じた保険金が支払われます。
「自転車保険プラン」の保険料(年払)
節約コース | 標準コース | 節約コース | |
---|---|---|---|
本人型 | 1,960円 | 3,350円 | 5,380円 |
夫婦型 | 2,500円 | 4,860円 | 8,250円 |
家族型 | 3,380円 | 6,830円 | 12,170円 |
満18才未満対象のお子様向け保険もあります。
子供コース:年払:1,960円
取扱代理店:楽天インシュアランスプランニング株式会社
引受保険会社:三井住友海上火災保険株式会社
TSマーク付帯保険
「TSマーク」は、自転車安全整備店において自転車の点検整備を行い、その自転車が安全な「普通自転車」であることを自転車安全整備士が点検確認したときに、その証しとして貼るシール(点検整備済証)のことです。
公益財団法人 日本交通管理技術協会
TSマークは整備された自転車に適用される保険です。本人だけでなく家族や友人、従業員なども対象となります。
保険料は自転車安全整備店の整備代金に含まれます。そのため、保険料は店舗ごとに異なります。
- 青色TSマーク:1,000万円
- 赤色TSマーク:1億円
1店舗で青(約1,000円?)と赤(約2,000円?)のいずれか一種類の取扱いとなります。
保険の有効期間は、TSマークに記載されている日から1年間。年1回は点検整備を受けてTSマークを更新する必要があります。
まとめ
自転車保険は、購入時にTSマーク付帯保険を勧められます。多くの方は加入されますが、1年後に更新される方は少ないのではないでしょうか。
TSマークは「点検整備済証」のため、自転車安全整備店による整備が必要になります。ネット申し込みはもちろん、保険だけの加入はできません。
また、TSマークは事故時の示談交渉サービスがありません。
自転車の保険選びは、補償限度額や保険料の金額以外にも、弁護士が交渉を行う特約や示談交渉サービスの有無は重要です。
保険金の内訳は、個人賠償責任(相手への補償)とケガに関する補償(自身の補償)。特に自身の補償は保険料の増減によって大きく変わります。
保険で支払われるのは発生した損害分だけです。無用に高額な保険に加入する必要はありません。
過去の判例からみると、賠償責任補償については1億以内です。